オヤジのハラ事件

 発掘現場でのこと。その日私は、トランジットを扱うニッシーさんの横で、 トランシーバーを使って伝達役をしていた。遺物を取り上げるとき、トランジットという機械で遺物番号とその位置を記録していく。 遺物の位置にプリズム(ミラー)のついた棒を立て、それをトランジットでのぞいて、 プリズムの位置を機械に読みとらせるというしくみ。
 トランシーバーは、遺物の位置にいる人とトランジットの所にいる人がそれぞれ1つずつ持って、「遺物番号**番です」とか、「次お願いします」とか言ったりする。たまに前に人が立ち止まったり、人夫がしゃがみこんでたりしててプリズムが見えないときがある。 そういうときはトランシーバーで「人夫で見えませーん」 とか言うと、向こうの人が人夫をどけてくれたりする。 親方が邪魔になったときもあって言うべきか迷ったこともあった。結局言ってどけてもらったけど。
 話は戻って、私はニッシーさんの言うことをそのままトランシーバーで伝えていた。仕事にも慣れた頃だったのでボーっとしていたのだろう、 粗相をしてしまった。教育委員会のHさんというえらい人がいて(50歳位)、 その人のお腹が出っ張った部分でちょうど見えなかったので、 ニッシーさんが「オヤジのハラで見えない。。。」とふざけて言った。そこはHさんからは50メートルくらい離れていたからもちろん本人には聞こえ ないのだが、つぎの瞬間、私はとんでもないことをしてしまった。 トランシーバーのスイッチを押して、その言葉をリピートしてしまったのだ。

  「オヤジのハラで見えませーん。」

 
それは50メートル先に確実に届いた。何も考えずに言ったので、言って数秒たってから血の気が引くのを感じた。 まわりの人も一瞬凍り付いたが次の瞬間からもう大騒ぎ。
 あとで聞いた話では、それを聞いたHさんは「なんですとー!?」 という感じで勢いよく振り返ったそうです。みんなも言葉使いには気をつけようねー!特に電波に乗せるときは。



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