シナイ山をきわめる!

 8月20日木曜日の真夜中12時、マイクロバスはシナイ山に向けて出発。 なんでこんな時間に出発するのかというと、シナイ山の頂上でご来光を拝むため。メンバーはエジプト人2人と日本人11人。 エジプト人は1人が考古庁のインスペクター、オムラーンさん(覚えにくいのでオムライスさん!)で、もう1人はイスラム博物館の職員ミスハットさんだった。2人ともちょっとぬけたところがあっておもしろい。 しかも遠いところに行くのでエジプシャンがいるとすごく心強い。
 私たち一行は、それぞれペットボトルの水を1本ずつ持ち、 それから次の日の朝食を持って出発した。なんだか真夜中に (しかもお弁当付で)出発っていうのはすごくワクワクしました。
  町をでると街灯はなくなり、真っ暗な道をひたすら走る。見えるのは、他の車のライトと、ものすごい数の星★見えすぎちゃって困るくらい見えるのです。 天の川まで見える。日本じゃ見たことないよ、こんな星空。

  バスは乗り心地悪かったけど、夜なので曝睡しました。 みんなも寝ているようでした。途中何度か、検問みたいなのが あって車が止まった。 検問も24時間体制でおつかれっす、と思いつつまた寝るのでした。
 
ハウスを出てから3時間くらい経ったでしょうか、車が止まったので また検問かい、と思っていました。ミスハットさんが車の外のエジプト人と 何やら話していて、しばらくすると車に知らないエジプト人が1人入ってきた。 ガイドらしい。それにしても車内はただでさえギュウギュウなのに、 その人は無理やり座ってきた。
 それから車で少し行くと、とうとうシナイ山の入口、 聖カテリーナ修道院に着いた。 といっても外は真っ暗で、そこが修道院だったことはあとで知った。しかも標高が高いせいか、結構肌寒い。

 そして夜中の3時過ぎ、 山頂めがけて一行は歩きだしたのでぃす!暗闇の中で懐中電灯をつけると、ぎょっ、 まわりに何十頭ものラクダが座っているではありませんか。 じっとしているので置物みたい。シナイ山はラクダでも登れるらしく、 彼らは客待ちをしているのです。あー怖かった。
 私たちの他にも、登山グループはちらほらいた。懐中電灯の灯りが山のあちこちに見える。例のガイドさんはさすがプロ、 ライトなしでズンズン先頭を歩いていく。彼は猫目なのでしょうか。私も最初はガイドのペースで歩いていた。 ところが5分くらいでもう着いていけなくなり、 しまいには最後尾になってしまった。体力なさすぎ。。。メンバーの中にはご年配の方もいたけどその人はのほほんと登っていく。 負けた。。。そういえば小学校、中学のときも登山遠足嫌いだったなあとか思い出してきた。
 「2時間かかるよ」とそのとき初めて聞かされてかなりショ-ック。 この苦しみが2時間も。。。映画1本見れるよ。 でもせっかくあの有名なシナイ山に登っているんだから満喫せねば、 と思って気合いを入れ直した。ゼイゼイいいつつもたまにふと空を見上げると、すんごく星がきれいに見えるからそれを励みにした。 それでもしんどいときは、ゆーっくり歩く。 で、列から離れそうになると、オムラーンさんがやってきて 背中を押してくれる。楽だーー。これが癖になって何度も利用させていただきました。
 それから、山道の途中いろんな所でラクダ屋が待機している。 あまりにもしんどいので何度その誘惑に負けそうになったことでしょう。 でもその度に、一緒にいたエジプト人に、ラクダはエクスペンシブだからダメ! と戒められるのでした。 小休憩は何回かありました。そんなとき、私とかはガーっと座ってしまうのに、 例のご年配の方は絶対に座らない。すごいなあ、と感心してしまいました。 それから、私が水を飲もうとすると、エジプト人が 飲むと後でつらくなるからまだ飲むなという。 始めは言われたとうりにしたけど、途中で我慢できなくなって飲んじゃった。 もうその時点でつらかったし。あと道の途中に売店があったので、 チョコビを買って友達と半分こした。こういうとき、甘いものがおいしいのです。
 登山最後のトドメは3千数段(?)の石段。これを登れば頂上だー、 と気合いを入れ直したけど登っても登っても着かない。。。あまりにも長いのでぶちきれそうになった。きれてもしょうがないんだけど。 最後の方はもうみんな無口になって黙々と登り続けた。 そして登り始めてから約2時間、ようやくこの苦しみから解放されるときがきました。 ホント、しんどかった。
 頂上は岩がごつごつしていて、 案外狭いわりに人が結構いたので、とりあえず岩のあいてる所を 探して寝転がった。あいかわらず、が鬼のようにたくさん見えます。 険しい山道を登りきったあとなので、 すごく気分がいいです。今、モーセが十戒を受けた所にいるんだなあと思うと、 すごく神聖な気持ちになります。 そんなところで寝転がって星を見られるなんてもーサイコー。 さっきまでの苦労は吹き飛んじゃった♪
 頂上には礼拝堂と売店があった。礼拝堂から歌声が聞こえたので ちょっとのぞいてみたら、巡礼者らしき人がたくさんいて、 宗教的な空気が濃厚だったので異教徒の私としては奥まで入れませんでした。 頂上に着いたのは朝の5時頃で、星が見えるくらいだから 日の出まではまだ時間がありました。 ミスハットさんが売店でシャイを飲んでいて、私にもおごってくれた。ラッキー。 熱いミルクティーがおいしかった。 東の方に金星が出てきて、空がだんだん明るくなってくると、 本日のメイン・イベント、シナイ山でのご来光を拝むべく、 みんな見晴らしの良い岩に登ってカメラをスタンバります。
 やや曇りぎみだったので心配だったけど、 日の出は今までに見たことのないような、意外な出方をした。 日の色は淡い赤だけど、輪郭は妙にくっきり。太陽全体が姿を現すと、光が強くなって赤が濃くなり、 それからどんどんまぶしくなっていった。 やっぱりお日様は神様だなあと思いました。


ごらいこうと私。

 明るくなると、いままで見えなかったまわりの山々が見えてきて、 神々しい風景が広がった。夜の星といい、朝の太陽と山々といい、 すごくゴージャスな光景を一度に堪能してしまった。心が洗われるようでした。
 
 朝日を堪能してから、今度はお弁当をひろげて山頂で朝ご飯。エイシ(エジプトパン)に、チーズ、ツナ、コンビーフを 好みでトッピングして食べます。場所のせいか、こんなシンプルなものでもいつもの数倍もおいしく感じて、 食が進んだ。見晴らしバツグンだし。
 日本酒を飲んででき上がってる人もいた。おいおい。7時半ごろ、登りとは別ルートで山を降り始めた。 引力があるから登りよりは楽なのだけど、足が疲れててガクガクした。途中ロバがいっぱいいて、それぞれ胴体にアルファベットが書かれていた。 きっと「ロバA」から「ロバZ」までいるんだろうな。
 夜と違って明るいから下がよく見えるけどそれがかえって怖かったりもする。 足ガクガクしてるし。踏みはずさなくてよかった。ずっと降りていくと岩壁の間から、 聖カテリーナ修道院が小さく見えてきた。ゴールは見えるものの、マッチ箱くらいにしか見えないのでまだかなり遠い。降りても降りても近づかない。夜は涼しかったけど、今度は日が出ているのでかなり暑い。日焼け止めも帽子もない。 結局降りるのも2時間くらいかかった。 あとで降りてきた道を振り返って見ると、 すんごい急斜面でとても道とは思えなかった。


山頂附近、下山中の私。草木ひとつない岩山。

 体はボロボロになりつつも、聖カテリーナ修道院を見学することにしました。 金曜日はクリーニングの日で本当は入れないらしいけれど、 考古庁インスペクター、オムラーンさんの交渉でなんとか入れてもらえました。 聖カテリーナ修道院は、まわりを高い城壁に囲まれていて、 中に修道院の他、教会やモスクなどがある。この高い壁はベドウインなどの 侵略を防ぐためにあるのだという。だから、 いまでもちゃんと中の建物が残っているのね。 教会の中にはシャンデリアがたくさんあってきれいだった。 ロシアからの贈り物らしい。


聖カテリーナ修道院のポストカード。ここはエジプトで唯一雪が降る所だそうです。
(ちなみに私が行ったのは夏なので雪はなかったです。あしからず。)


 記念にポストカードを買っていこうと思ってしなびた土産屋に入った。 2枚選んで店員に差し出すと、2ポンドって言ったのに、 私がアラビア語を少し話すと半額になった。こんなところで役に立つとは。 それにしても、エジプトってのはこういうとこテキトーなのね。 まあ、そこがまた好きだったりもします。
 帰りのバスもクーラーがなく、しかも真っ昼間なので 地獄の灼熱バスツアーだった。 途中、ワーディー・フィーラーンとかいう修道院らしき遺跡(隊長のお薦めらしい) に立ち寄ったけど、特に涼しいところもなく、みんな暑さと疲れでぐでぐでだったのでじっくり見学する気力もなく、そそくさとバスに戻った。バスはひたすら暑いので、もう寝るしかなかった。 寝汗を何リットルかいたことでしょう。こうして、 シナイ山ツアーはこの灼熱地獄の中で幕を閉じたのでした。 あーすごかった。いろんな意味で。



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